モンテッソーリを受けた子達が、他の子より秀でることと秀でないこと

子供の自立心を育む教育の代表的存在である、モンテッソーリ。

オバマ大統領やGoogle創業者のラリー・ペイジ、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツなど、数々の有名人や実業家が受けた教育法として、注目度と評価が高い教育です。

日本でも様々な教育機関において、特に幼少期教育で取り入れられています。

私も、モンテッソーリ関連の書籍を読んだり、モンテッソーリの幼稚園の見学に行ったりしたことがあります。

その考え方に賛同し、素晴らしい教育だとは思っても、実際にどのくらい効果があり、例えば普通の幼稚園や保育園に通った子供たちと異なる結果はあるのか?が、親として非常に気になるところです。

今回は、そんな疑問に答えてくれるかのように、モンテッソーリ教育の実際の効果について測定を行なった、興味深い研究を見つけたのでご紹介します。

また、それを踏まえた上で、幼少期の子供にとって最適な方法について考えていきたいと思います。

モンテッソーリとは?

マリア・モンテッソーリというイタリア人女性医師が開発し、1907年にイタリアに「子どもの家」という保育施設を作り、自由な環境で子どもが本来もっている能力を、(近くで監視するのではなく)適切な援助で引き出していくモンテッソーリ法が実践されていきました。

5つの分野(運動、感覚、言語、算数、文化)に渡り、複雑で相互関連のある実践的な教具とレッスンを提供しています。

特徴は、子供達が異年齢の、仕切られていない自由な環境の中で、誰と、もしくは1人で、何をするか、を自分で選択して行なっていくことで個別活動による自発性を育んでいくことです。

モンテッソーリ教育の効果を測った研究

Frontiersという、教育関連の研究資料を公開しているメディアで、発見したのが、モンテッソーリ教育による子供の成果を測定した長期に渡る研究です。

参考 Montessori Preschool Elevates and Equalizes Child Outcomes (2017)Frontiers

正式な研究報告書/リサーチペーパーなので非っ常に長いのですが、ここでは簡潔に紹介します。

141名の子供を測定

最終的な実験測定には、141名の子供を含み、

  • モンテッソーリのプリスクールに通う70名の子供
  • 一般的な(モンテッソーリではない)幼稚園に通う71名の子供

通い始めた最初の頃から、卒業まで3年間に渡って毎年4回(計12回)のテストが行われ、7つの要素と能力において測定がされました。

クリエイティビティや課題解決能力に差は出ない

モンテッソーリ教育は、最初こそ子供たちの間に差はなかったものの、徐々に、学問、社会への理解、向上志向性の要素において、より良い結果を出したが、クリエイティビティ(発想力や創造性)や課題解決能力においては、差が現れなかったそうです。

では、7つの要素のそれぞれの測定結果を簡潔に。

1. 学問の能力

Woodcock–Johnson IIIR Tests of Achievement(語彙力や計算など)を使って評価が行われた。

最初のテストでは差がなかったところから、学習期間を通じて、モンテッソーリ教育を受けた子供たちの方が、より急な成長カーブを描き、良い成果を発揮した。

2. 心の理論(社会への理解)

4つの問題で測定され、モンテッソーリ教育を受けた子供たちの方が、より早く社会への理解を育んでいったことが分かった。

3. 社会的課題解決能力

社会における(子供たちのやり取りの中で起きる)問題をどう解決するか、が測定された。

これについては、学習期間を通じて子供たちの間に差は生まれなかった。

4. 実行する能力

言われたことを正しく理解して、行動に移す能力が測定され、これについても能力差は生まれなかった。

5. 習熟志向性(向上心)

簡単なパズルと難しい(解けない)パズルを両方やった後に、再度どちらかに挑戦するかを聞き、習熟志向性の測定が行われた。(難しい方を選択する方が、向上心があるとされた)

最初は差がなかったが、4歳以上になると、モンテッソーリ教育を受けた子供たちの方が、「出来ると思う」と難しい方を選ぶケースが多い結果となった。

6. クリエイティビティ(創造性)

発想力や創造性が問われる課題においては、子供たちの間に差は見られなかった。

7. 学校を楽しめているか

子供達に対して、アンケートが実施され、学問的な活動(学校や読書)と、自由な活動(テレビや遊び)の楽しさを子供達が回答した。

モンテッソーリ教育を受けた子供たちの方が、学問的な活動に対する回答が前向きであった。

デメリットはないのか?

上記の研究結果を見ると、モンテッソーリ教育を受けた子供達がそうじゃない子供達に秀でることはあっても、劣ることがないように思えます。

本当にモンテッソーリ教育にデメリットはないのでしょうか?

一般的な懸念としては、課外遊びが少ないための運動不足や、モンテッソーリを実践する教育機関や教員の質による差などが挙げられています。

それは、私が見学に行ったモンテッソーリの幼稚園でも、教育法への理解度と情熱は、先生の間で差が感じられました。

また、一部では、モンテッソーリ教育は個別活動と自主性を強調することから「集団社会への適合性がなくなる」と批判されているそうです。

確かに、モンテッソーリ教育を受けた子供たちが、一般的な集団教育へ進んだ時に、苦労する姿は目に浮かびます。

私の知り合いでも、実際にその問題に直面したことがありました。

北欧で進んだ高度な教育(生徒2名に教師が1人)を小学校で受けた娘さんが、日本に帰国した際、地元の中学校に馴染めず不登校になってしまったケースがありました。

個人的には、それは、効率性を重視した運営側都合のつめ込み集団教育に対しての、正常な反応なのでは、と思います。

ただし、(そういった環境のせいで)不登校になったことが、子供に及ぼす心身的な影響(自信の喪失や自責の念)は計り知れません

幼少期のうちに、モンテッソーリを始め、何かしらに特化した教育に完全に寄せるのであれば、途中で一般的な教育に切り替えるのではなく、中学、高校、大学まで一貫して、そういった教育環境に身を置くことが最適な方法になる気がしています。

そうではなく、子供が(特に日本において)一般的な学校への道を進むことが決まっているのであれば、集団教育への適応能力をも、幼少期からある程度身につけることが、子供のためになると思っています。

要は、モンテッソーリ教育と一般的な集団教育を、バランス良く身につけることです。

モンテッソーリを家庭教育に取り入れよう

では、一般的な集団教育と、モンテッソーリ教育をバランスよく取り入れるには、どういった方法が考えられるでしょうか。

場合によっては、地元の幼稚園や保育園が、一部モンテッソーリ教育法を取り入れていることも多いにあると思います。実際、モンテッソーリの効果と評価により、採用が広まってきているのです。

例えば縦割り(異年齢交流)の機会や、遊びを自ら選択できる機会、手先を使った工作、赤ちゃんの頃の運動能力を伸ばす体操などです。

話題になっている、「藤井聡太四段も、モンテッソーリ教育を受けていた!」説も、実際は地元の幼稚園(雪の聖母幼稚園)が取り入れていたものです。

そして、もちろん、家庭での取り組みも多いに可能です。

例えば、我が家の方針では、公立の園に通いながら、家庭教育でモンテッソーリ教育(また、他の方法)も取り入れています。

モンテッソーリで行われている活動に取り組む

モンテッソーリで実際に行われているレッスンや教具などを知る方法は、書籍やネットなど、色々あります。

実践的な方法が紹介されている本

モンテッソーリ教育×ハーバード式

こちらは、最近(2018年7月)出版されたもので、モンテッソーリの全5つの分野にわたって実践方法が紹介されています。

モンテッソーリ教育の教具が紹介されているウェブサイト

知育 at Home「モンテッソーリを家庭で」や幼稚園のウェブ(日向和田保育園)など。

藤井四段が100個作ったと言われている、ハートバッグの作り方も載っています。

参考 脳を鍛えるモンテッソーリのハートバッグの作り方知育atHome

また、モンテッソーリ教育の教材や知育玩具に特化したお店もあります。

参考 モンテッソーリ教具や教材、知育玩具のお店Plaza Yokohama

子供の自発性、主張を尊重する

おそらく、3歳以降では、1.の活動自体よりもこちらの方が重要になってくると思います。

さまざまな活動や経験を通じて、子供の自身の意思や好みも確立してくるからです。

家では、親が「これしよう」「あれしよう」と誘導することを(できるだけ)少なくして、子供の自発性に任せる機会を設けます。

何の遊びをするかを子供に決めさせることに止まらず、日々の選択(何を食べるか、何を着るか、何を買うか)を子供に委ねたり、休日に「今日一日何をするか」を子供に聞いて従ってみることです。

1人の大人として接する機会を持つことで、子供の自尊心や自信にも繋がっていくと感じています。

成功する単一の教育法は存在しない

最後までお付き合いいただきありがとうございます。

モンテッソーリの効果に関数する研究、メリットなどについて見てきましたが、結局は、どんな子供や環境でも必ず成功する1つの教育法などは存在しません。

親がしっかりと子供の成長を見守り、理解し、特に幼い頃は、さまざまな環境や教育法の体験によって世界を広げて、成長とともに子供の向き不向き、得意なこと(強み)が分かってきたら、

その時々に合わせて、子供の成果を伸ばせる方法を取ることが1番だと思います。

先ほど挙げた不登校になった娘さんも、通信制の学校に転校したことで、元気に卒業ができたそうです。

教育方法も、モンテッソーリに限らず、ドイツのシュタイナー教育や、教育水準世界一のフィンランドを支える読書文化フィンランド・メソッド、ノブレスオブリージュを唱える先生による幼児塾ライトスタッフ(私の母の推しです)など、さまざまです。

子供の可能性は無限大です。

1つの方法に固執するのではなく、親として色んな教育法にアンテナを張りつつ、それを家庭に取り入れることが、幼少期の子供に取って1番良いのではないかなーと思う次第です。

2 COMMENTS

若葉

この記事で、ご指摘されている通りです。
わが子が通った園の卒園生は、不登校、または、学校に馴染めないお子さんが多いです。

卒園後、一般的な学校へ通わせるのであれば、モンテッソーリ幼稚園ではなく、シュタイナーの園、または、子どもをきちんと尊重してくれる、たっぷり体を動かす自然派保育園を、個人的にはお勧めします。

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Yuka

若葉さん
コメントいただきありがとうございます。実際にご経験された方のご意見、とても参考になります。日本国内の学校に通っていくことを考えると、難しいですね。それぞれの子に合う学校が見つかると良いですね。私も長女が入る小学校をどうするか、絶賛模索中です!

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